飽きていた・・・
スロットで遊び、景気のいい食事をしてホテルで眠ることに
幸か不幸か連勝していたのも帰らなかった原因のひとつ
長く留守にすると帰りにくくもなる
しかも、飛び出した状況が状況だ
イヤなことから現実逃避していたものの
いつまでも不確かな状況に満足してられないのが人間
『そろそろ帰らないとヤバイよ』
『うん・・、気まずいけどな・・・』
『きっと、亮の親も怒ってるよね。専務は私のことが大嫌いだし、亮のお母さんは専務と親しくしてるし、話を聞いて怒ってるよね。』
『今日さ!スロットで負けたら帰ることにしようよ!』
良くない状況をすぐに解決しようとしないまま
逃げ道のように違うことをしようとすることは私は好きじゃない
だけど、勇気のいる行動にはやはり足がすくむ
亮も同じ気持ちだったらしい
胸の奥につっかえを持ったままの私たちの気持ちを
まるでわかっているかのように
今日はお金がどんどん吸収されていった
今夜、泊まるお金も食事するお金もなくなってしまった
帰るしかない!
亮が勇気を出して自宅に電話をかけた
『今日、帰るから。』
どこにいるのかと訪ねる母親に車で30分ほど先の
町にいると亮はウソをついた
どうしてそんなウソが口から出たのか私にはわからない
『憂ちゃんのお母さんが憂ちゃんの荷物を取りに家に来たの。あなたたち、どうして仕事を辞めたの!』
その言葉に私たち二人は凍りついた
亮のお母さんは怒っていた
そして、とても良くない状況になっていることを痛感した
帰ると決めたものの帰りたくない
途中、気晴らしをしようと湖へ寄り道することにした
新緑の季節
清々しい空気を吸えば気分もスッキリすると思った
ノンビリと手をつないで歩き
木々の間をかくれんぼしながら走った
大声で笑っていても、心の中が苦しかった
笑うほどに、よく晴れた青空を見るほどに
青々した葉っぱに生命力をわけてもらうどころか
どんどん私たちの気持ちは沈んでいった
諦め、車に乗り・・・
走った状態の車の中で私たちは手をつないだまま
バンザイをして大声でまた笑った
笑って、笑って、無理して笑うことすらできなくなった時
亮がポツリと言った
『このまま死んじゃおうか・・・』
実は、私も同じことを考えていた
このまま死んじゃってもいいかなって・・・
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